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2010信越五岳110km(5)

22:18 瑪瑙山頂通過。ノンストップで下り開始。

 ここからの下りは、弐号にはかなり辛いはず。二人でゆっくり下り始めると、後ろに人の気配。道を譲るが、「自分も脚がもう終わってるんで、付いていきます。」という。
それじゃ、ということで、ゆるいジグザグを描きながら、静かに標高を下げていく。
試走の時より、かなり長く感じたな、この下り。

 ここでも、「溝がありま~す」「ガレて来ました~」と声を出しながら先頭を下る。
傾斜が緩くなり、スタッフの灯が見え始めた辺りで、弐号がペースを落としたいというので、他の方には先に行ってもらった。「ありがとうございました!ゴールでお会いしましょう!」とエールをもらった。

 ゲレンデ下りを終えて再び山の中へ入る。木の根や段差、岩などが多い。
弐号と二人だけで声を掛合いながら進む。小川を越え、ガレ場を抜け、崖っ淵を抜けた辺りで、後方からライトの灯が迫ってきた。
二人で端っこに避けて、「先に行ってください!」と伝えると、「ああ。やっと追いついた。一緒に行かせて下さい」とのこと。
どうやら、瑪瑙への登りのトレイルで、隊列の後方に並ばれてた選手らしい。(自分は常に先頭だったので、各選手の顔をほとんど認識していない…)

 最後の萱ノ宮への一山を越えた辺りで、GPSのバッテリーが切れた。まだ8時間も走ってないのに…。10時間もたせるには、2Dモード(標高計測機能をカット)しかないのだろうか…。

Pacer_vtcl

↑乙見湖から最後の林道に差し掛かかる手前までの高低図は、こんな感じだった。

 ここからは、基本的に下り。広めの未舗装路を、岩や木の根に気をつけながら進む。路面状況が固めで、弐号には辛いところだ。
途中、お月さんfullmoon を眺めて歩きを交えたりしながら、それでも、かなり痛みをこらえて走って、ついに飯綱西登山口の舗装路に到着。ゴールまであと7.1km。最後の給水ポイントだ。

 走れば40分程度でフィニッシュだが、たぶん、弐号の膝はもう限界。歩けば先は長い。と思い、パワージェルを投入。
コップ1杯だけ水をもらって、すぐに林道を速歩で歩き始めた。一緒に下ってきた男性は、少し休んでいくようだった。

 すぐに、前方をトボトボ歩いている男女のペアに追いついた。男性ペーサーが荷物を二人分背負ってた。
 「頑張りましょう!お先に!」と声をかけ、速歩で脇を通り過ぎた。

この林道、結構、走りづらい。轍があって泥濘んでたり、ちょっと石ころが目立ったり。

 ここまで頑張って走ってきた弐号だったが、この林道はもう脚が完全に終わっていた。
「残り全部歩いても、完走できる?」と弱気に尋ねてくる。
完走は間違いない。歩いていると行っても、自分の感覚で、キロ11分までは遅くない。一緒に走り始めてから、ダラダラと歩いたことは一度も無い。

「20時間は切りたいな…」と弐号が呟いた。
そういえば、途中で別れた隊列の選手も、「20時間を切りたい」と口々に言っていた。19時間台と20時間とでは、かなり印象が違うということなのだろうか。
山頂で別れた選手も含めて、よほどのことがない限り、余裕で目標達成できるだろう。
 自分達も、このまま立ち止まらなければ、19時間半でゴールできることは間違いなかった。

「ラスト3kmになったら走ろうか?」と振ってみた。
「…ゴールゲートが見えてからでいいや」
相当に「参ってる」感じだ。

自分の記憶違いで、「105km地点」を示す案内板があるような気がしていた。(実際は10km間隔)
歩き続けているとは言っても、腕を振って、それなりのペースで進んでいるはずなのに、ちっとも105km地点が現れない…と不思議に思っていた。

そんな迷いが伝わったのか、弐号の弱音が増えてきた。
「お腹が痛い…」「吐きそう…」「今まで、こんな痛みを経験したことはない…」etc。

立ち止まって、膝の具合を確かめる回数が増えてきた。

時折、後方からライトの明かりと熊鈴が追いついてくる。
それほど速いスピードではない上、こちらもそれなりのペースで歩いているので、だんだんと差が縮まって、並ばれ、だんだんと背中が遠ざかっていく。その間が、かなり長く感じる。

「また抜かれちゃったね…。走れなくてゴメン」と弐号。
「他の選手は関係ない。痛みを堪えて精一杯頑張ってることは、俺もよくわかってる!」

その後も、ラストスパートしていく選手に何組も抜かれた。萱ノ宮を一緒に降りてきた選手にも追いつかれ、「ゴールで待ってますね!」と元気に駆けて行く後姿を見送った。

「レースが終わったら、どんなご褒美が欲しいの?」なんてことを尋ねて、気分を紛らわせる。
「○○みたいな、テラスのあるレストランのねえ~、△△なXXみたいなのが食べたい。あとはね…」。
妄想タイムへの誘導に成功した。場合によっては、現実逃避も必要だ。think

やがて、林道がだんだん下り勾配になり始め、右手に舗装路がちらちら見えるようになってきた。
そろそろゴールも近そうだ。

何度か軽く走ろうとしてみたようだが、すぐに無理だと悟ったようだった。

歓声が聞こえたような気がした。かなり賑やかに聞こえる。カーブを左に曲がったら、照明が見えた。
「あれがゴールへの入口だ!」と喜んで近づいていくと、誘導スタッフの車の照明と大音量のラジオだった…。

「あと1.1kmですよ!」「ありがとうございま~す」

う~、残念。でも、あとわずかだ!
が、たぶん弐号の心理は、「まだ1kmもあるのか…」だったに違いない…。

「最後、走るか?」
「無理!」
…秒殺された。

この最後の1kmで、5組は抜かれた。

「本当はもっと走りたかったでしょ?」って気を遣われた。
でも、これは弐号のレースだから、自分自身が本当に頑張ったと思えれば、それ以上のことは必要ないのだ。
「俺は、ただの付録だから、気にすることないよ。このレースは、君のレースなんだから。」「うん、そうだよね♪」

最後の右カーブを回ると、ゴール会場が見えた。スタッフが手を振っている。遠くの照明が眩しい。ついさっき抜かれた選手のゼッケンを告げるアナウンスも聞こえる。

「最後だ!頑張れ!」と声援を受けるが、振り返ると、やっぱり弐号は辛そうで、走る気配がない。
会場が見えてからも、さらに一人に抜かれた。

会場内に踏み込んだところで、正面のゲートを見据えながら、ラストランを始める。
最後の最後のゲレンデ下りが効く。
振り返ると、弐号が自分に付いて来られない。「脚が痛い~!」と叫んでいるのがわかる。

蛇行走行を繰り返して弐号が追いつくのを調整したつもりだったが、ゴールゲートまでが短すぎ、自分が先にフィニッシュしてしまった…。面目ない。

ゴールタイムは、19時間20分。時刻は0時50分。
ちなみに、レース前に本人から聞かされていた申告タイムは、21時間45分(03時15分)というものだった。流石に、それはないだろうと思ってたけど。

40_finish

自分が、最初に弐号用に作成した皮算用(本気モード)は、17時間20分(22時50分着)という計画だった。が、本人が、「夏は登山で遊ぶから週末は練習しない」というので、あえなく却下され、下方修正したプランが「U子さんバージョン」だった。こちらは、19時間10分(0時40分)のゴール予定で、今回の結果に一番近い。

最後の林道を歩き倒してしまったけれど、それを除けば出来過ぎの結果だ。

8月の試走の際に、あまり本気度が感じられず、「110kmのトレイルをなめるな!このままだったら、俺はペーサーなんてやりたくない。」と喧嘩したことが懐かしく思い出された。

レースが終わって、もう5日過ぎた。弐号の身体のダメージはそれなりに残っているようだ。

写真を整理していると、どれもすごく楽しそうに笑っている。

出場を勧めて良かった。そう思っている。

(レース編 完)

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コメント

ほんとにお疲れさまでした。

110kmのロングトレイル、ほんとにお疲れ様です。

大会レポ思わず引き込まれてしまいその場にいるようでした。

これから秋のロードシリーズですね、がんばってくださいね。

(今朝、上越で石川さんにあって、勢いで来年出るって宣言しちゃいました…)

健太さん、上越XAdventure乙でした。
丸一年、しっかり精進して頑張ってくださいね!

うさ吉さん 
K野です。遅くなりましたが・・・弐号さん完走おめでとうございます。またこちらにも応援、撮影のおすそ分けいただき、ありがとうございました。おかげさまで気分良くレースを終えることができました。また大会会場でご挨拶いたします。

ホッケさん、素晴らしい成績での完走、おめでとうございます。
勝田の見送りの時は、真っ暗でお顔がよくわからなかったのですが、今回は、はっきり認知させて頂きました!
たぶん、去年の雨の野辺山の、北相木からの下りで会話を交わしてたと思います。(白のランシャツ、ランパンの涼しげな格好だったような…)
また、レースでお会いする機会が増えると思います。よろしくお願いします。

ホッケさん、お疲れ様でした!
家族のサポートが受けられるって、いいですよね。
さすがにクマさんは連れて行けないけど(笑)?
雰囲気のいい大会で楽しめました。

どこかの大会でお見かけしたら、また声掛けさせていただきますねhappy01

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